DeNAのキュレーション事業に関する第三者委員会報告書を読む

第三者委員会調査報告書(要約版)公表のお知らせ

内部統制やリスクマネジメントやコンプライアンスについてはさておき、企業文化なところは気になる点をメモ(手入力)しておく。

1 コミュニケーションについて
上司には、部下からの諫言にも耳を貸す寛容さが求められる。それがなければ、誰も上司に物を言わなくなる

イエスマンだけで周囲を固めることは、心地良いかもしれないが、何も見えなくなるだけである

上司の一言が部下に与えるインパクトは、その一言を発した上司の想像を超えることがある。「そんなつもりはなかった」では取り返しがつかない

上司が言葉足らずだと、その組織には、上司の考えを忖度する文化が生まれる。忖度が常態化すると、思い違いによる組織の意図せぬ暴走を招く。また上司の考えを忖度することばかりにとらわれた部下は、次第に自立的な思考をしなくなり、内向きな議論ばかりするようになる

上司同士のコミュニケーション不全は、部下同士のコミュニケーション不全を生み、やがては派閥を生む

社内の各部署がお互いの価値観や言動をリスペクトする姿勢を示せば、部署ごとの部分最適ではなく、会社や社会にとっての全体最適を追い求めるようになる

2 大企業病について

すなわち、DeNAの経営陣に対するヒアリングによれば「永久ベンチャー」という理念は、組織の硬直化、意思決定の鈍化といった大企業病に陥るまいとする誇り高き理念であったにも関わらず、キュレーション事業においては、それが「速ければ易きに流れてもよい」ことを意味するかのごとく曲解されて、慎重な意思決定やリスク分析がないがしろにされ、当たり前のことを当たり前にやることへの軽視に繋がってしまったような印象を受ける

「永久ベンチャーを締めるのか、それとも反・大企業病を貫くのか」という議論が典型であるが、キュレーション事業に関しては、右か左かの二元論的な思考パターンが随所に見られたように思われる

こうした二元論的な思考は、物事の単純化には役たつものの、安易にこうした思考に陥ってしまうと、多面的な議論や洞察が必要な領域においては、かえって重要な視点を見落とすに繋がる。


この二つについては大体の企業にも起こり得ることだが、ただ深刻な事態に陥るまで至らなかった事がほとんどだと思います。DeNAの件はここまで深刻化されたのが経営者に対する監督責任不足だったなのかなと思われます。