チャールズ・W・バートレットの版画作品 Gateway To Ming Tombs / 明十三陵の門

先月、銀座をぶらぶらしていたとき、偶然渡邊版画店で100年以上前に制作された版画作品「Gateway To Ming Tombs」を見つけました。

店主(創業者・渡邊庄三郎氏の孫にあたる渡邊章一郎氏)によると、
この作品の画家バートレットはイギリス人で、中華民国初期に中国を訪れた際に油彩画または水彩画として描いたものだそうです。
その後、彼は東京に渡り、渡邊版画と協力して一連の版画を制作しました。その中の一つがこの「Gateway To Ming Tombs」です。
この作品はバートレットの個人注文によって制作されたため、市場にほとんど流通せず、現存するものは非常に稀少です。

そのときはあまり深く考えず、「これは珍しい作品だ」と思い、高額で購入しました。
帰宅後、さらにネットで調べた情報をここにまとめておきます。


1. 「Google Arts & Culture」ウェブサイトの紹介

明十三陵の門 / チャールズ・W・バートレット(約1916年)
タイトル: 明十三陵の門 (Gateway To Ming Tombs)
作者: アーティスト:チャールズ・W・バートレット(Charles W. Bartlett)、出版社:渡邊庄三郎
制作年: 約1916年
所在地: 日本
素材: 木版画・紙本彩色
時代: 大正時代
クレジット: ロバート・ミューラー・コレクション
所蔵: アーサー・サックラー・ギャラリー

2. アメリカ・ワシントン 国立アジア美術館(National Museum of Asian Art)のコレクション紹介

明十三陵の門
アーティスト: チャールズ・W・バートレット(Charles W. Bartlett, 1860-1940)
出版社: 渡邊庄三郎(Watanabe Shozaburo, 1885-1962, 日本)
コレクション: 国立アジア美術館(National Museum of Asian Art Collection)
原産地: 日本
クレジット: ロバート・O・ミューラー・コレクション

3. アメリカ議会図書館のコレクション紹介

北京、明十三陵の門 / CWB.
タイトル: 北京、明十三陵の門 / CWB.
作者: チャールズ・ウィリアム・バートレット(Charles William Bartlett, 1860-1940)
制作・発行: 約1919年
主題:
• 中国・北京の門(1910~1920年)
• 木版画(カラー、1910~1920年)
ジャンル: 木版画(カラー、1910~1920年)
注記:
• K133952 米国著作権事務所
• 署名:CWB(モノグラム)、版上にタイトル記載
メディア: 1枚の版画(木版画・カラー)
所蔵: 米国議会図書館(ワシントンD.C.)
デジタルID: cph 3g02060 // hdl.loc.gov/loc.pnp/cph.3g02060
図書館管理番号: 92512973
複製番号: LC-USZC4-2060(カラー フィルムコピー)
オンラインフォーマット: 画像
LCCN パーマリンク: https://lccn.loc.gov/92512973

4. ChatGPT で調べたバートレットの生涯紹介

チャールズ・ウィリアム・バートレット(Charles William Bartlett, 1860-1940)は、日本の有名な版画出版者・渡邊庄三郎(Watanabe Shozaburo)と協力した数少ない西洋のアーティストの一人である。
彼は若い頃、イギリスで工業分野に従事していたが、その後美術の道へ進み、王立芸術学院(Royal Academy of Arts)やパリのジュリアン・アカデミー(Académie Julian)で学んだ。

1915年、バートレットは妻と共にアジアへの旅に出発し、日本の東京に滞在することになった。
東京では、オーストリアのアーティスト、フリッツ・カペラリ(Fritz Capelari)の紹介で渡邊庄三郎と出会う。
当時、渡邊は新版画(Shin-hanga)運動を推進しており、伝統的な浮世絵技法と近代美術の融合に取り組んでいた。

この協力関係のもと、バートレットは渡邊のために合計38点の木版画をデザインした。初期の作品の多くは1916年に制作され、インドや日本をテーマにしたシリーズが含まれている。
これらの版画は、東京・銀座にあった渡邊の工房で精密に彫刻・印刷・出版された。
1923年の関東大震災で一部の版木が失われたが、渡邊は一部の作品を修復または再彫刻し、バートレットの芸術的遺産を継承した。

バートレットは後にハワイに定住したが、渡邊やその版画工房との関係は続き、ハワイで制作した作品も渡邊の出版ネットワークを通じて発表された。
この国際的なコラボレーションにより、バートレットは新版画の分野で成功した数少ない西洋人アーティストの一人となり、日本の新版画運動の発展に独自の貢献を果たした。

5. ChatGPT による作品分析

この《Gateway to Ming Tombs(明十三陵の門)》は、イギリスのアーティスト チャールズ・W・バートレット(Charles W. Bartlett, 1860-1940)による版画作品であり、日本の著名な版画出版者 渡邊庄三郎(Watanabe Shozaburo, 1885-1962)が出版したもの。
この作品は新版画(Shin-hanga)運動の一部であり、伝統的な浮世絵技法と西洋絵画の光影・遠近法の表現を融合させた。

芸術的特徴の分析
1. 新版画スタイルと浮世絵の伝統
• 浮世絵の版画技法を継承し、繊細な線や色彩の階調表現を採用。
• 渡邊庄三郎による出版であり、高品質な手作業による刻印と現代的な美的感覚が特徴。
2. 色彩とグラデーション
• 空や遠景の山に ぼかし(Bokashi) 技法を使用し、柔らかい色のグラデーションを実現。
• 青からオレンジへのグラデーションが黄昏や夜明けの雰囲気を醸し出し、静寂な印象を強調。
3. 光と影の西洋絵画的影響
• 遠近法(Perspective)を活用し、門楼の奥行きやスケール感を表現。
• 大気遠近法(Atmospheric Perspective) により、遠景は青みがかり、近景は暖色系で描かれ、空間の深みを強調。
4. 構図とバランス
• 門の構造は対称的でありながら、人物やラクダの配置で動きを加え、画面にリズムをもたらす。
• 低い視点からの仰角構図により、門の壮大さを強調。

総評

この作品は、日本の新版画技法、西洋の光と影の表現、中国の文化要素を巧みに融合させた芸術作品であり、バートレットのユニークな美的スタイルを示している。

6 明十三陵の石牌坊の紹介

明十三陵の石牌坊(以下、「石牌坊」と省略)は、皇陵の最南端、昌平区の涧头村近くの「石牌坊村」に位置し、十三陵へ入る最初の門である。
石牌坊は漢白玉(白大理石)を使用した木造建築風の構造で、明の嘉靖19年(1540年)に建造された。五門六柱十一楼で構成され、高さは14メートル、幅は約30メートルに及び、中国国内に現存する最大規模かつ保存状態が最も良い模造木造彩色石牌坊である。

Perplexityで調査した石牌坊の紹介

石牌坊は木造建築を模倣した「抬梁式構造」を採用し、総高14メートル、幅28.86メートルで、直径1.2メートルの6本の石柱によって支えられている。
各石柱の下部は地中3メートルまで埋め込まれており、柱の基部は須弥座の形状をしている。上部は額枋(がくぼう)、雀替(じゃくたい)、斗拱(ときょう)などの石製構造部品によってほぞ組みされている。
特筆すべき点として、中央の4本の柱は「側脚」技法を用いており、各柱が中心に向かって5度傾斜している。これにより、構造の安定性が大幅に向上している。
木造建築の耐震構造の原理を石造建築に応用するというこの革新は、明代の職人の卓越した技術を示している。

建築表面には豊富な浮彫装飾が施されており、主なモチーフは雲龍文、宝相華文、瑞獣の図案などである。
正面中央の明間額枋には「大明長陵神功聖徳」の篆書8文字が刻まれており、その書体は力強く威厳がある。
屋根は歇山(けつざん)造りで、十一楼の屋根全体には瓦の細部、勾頭滴水などの石彫が施されている。屋根の端には風鈴状の石彫部品が吊るされている。
彩色の痕跡から、建物の主な色調は青緑で、額枋の中心部分には金箔装飾が施され、「青地金線」という視覚効果を生み出していたことが分かる。

神道の最初の建築物として、石牌坊は強い空間的区画機能を持っている。
その「五門制」は「天子五門」の礼制に対応し、中央の三門は皇帝と皇后の霊柩のみが通行可能であり、厳格な身分制度を示している。
建築心理学の観点から見ると、14メートルの巨大なスケールは強烈な視覚的圧迫感を生み出し、訪問者に自然と畏敬の念を抱かせる。この空間体験の設計には、「君権神授」という政治的暗示が込められている。

この石牌坊の建設は、明代における石造技術の成熟を象徴するものであり、木造建築の意匠を石材へと転換する試みは、清代の陵墓建築に重要な模範を提供した。
特に構造力学の面では、「挑檐減柱」技法(軒を伸ばしつつ柱を減らす技法)を用いて石材の脆弱性を克服し、額枋の断面の高さを増やすことで耐荷重能力を高める工夫がなされている。
これらの技術的工夫は、後の清東陵や西陵の石牌坊の建設に継承され、発展していった。

Last update: