ANA全日本空輸NH37便 客室減圧緊急着落 機長と航空管制通信の記録
昨日の8月12日は<a href=日本航空JAL123便墜落事故から32年の忌日でしたが、 この日(同月同日)のほぼ同一时刻(18時24分離陸)に、 同じく東京~大阪へ向かう全日空NH37便が一幕のスリルを経験し、はらはらさせられました。 当該機体はボーイング777-200型機、機体番号JA703A、1997年製造です。
ただ、事態は一部のネットメディアで語られているほど深刻ではなく、 空中での爆音も、ダイバート(着陸のための引き返し)も、緊急降下もありませんでした。
(1958年8月12日には全日空下田沖墜落事故も発生しており、 羽田~名古屋を飛んでいたDC-3が伊豆の下田付近の海上で墜落し、乗員乗客33名全員が亡くなりました。 墜落現場は、上記のJAL123とNH37の事故現場からそれほど遠くありません。
「8月12日」「羽田離陸」「夕暮れ」という点が、上記3つの事故の共通点です。 ですので、これから毎年8月12日の夕方以降に東京羽田から大阪へ向かうフライトは注意が必要ですね、笑)
<a href=“http://www.asahi.com/articles/ASK8D6T1LK8DUTIL029. target="_blank” rel=“noopener noreferrer”>全日空機、機内気圧低下で緊急着陸 乗客「怖かった」 朝日新聞の昨夜(2017年8月12日22時19分)のニュース記事:
午後6時30分頃、東京羽田空港から大阪へ向かった全日空37便は、 客室の減圧により羽田空港へ引き返し、20分後に緊急着陸しました。 当該機はボーイング777-200(JA703A)で、乗客262名と乗員11名が搭乗していました。 全日空によると、機体の上昇中に機長が異常を発見し、客内の酸素マスクを展開し、その後羽田空港へ戻ったとのことです。 客室の加圧システムにトラブルが発生した可能性が高く、現在調査中です。
上記のWebページでは、搭乗客が機内で撮影した動画が公開されており、 酸素マスクが落ちてくる様子や機内放送の様子が見て取れます。 客室の乗客や客室乗務員(CA)は比較的冷静で、パニックになるような様子はありませんでした。
機長が手動で酸素マスクを落下させたのであって、システムが自動的に落下させたわけではないということは、 当時の cabin pressure の低下率はそれほど高くなかったかもしれないことを示唆しています。
<a href=“http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170812/k10011098121000. target="_blank” rel=“noopener noreferrer”>全日空機 客室の与圧システム異常か 羽田に引き返す NHKのWebサイトでは、NH37、JA703Aの着陸(18時51分)と搭乗橋へ戻る様子の動画が公開されており、 その迅速な情報提供能力には驚かされます。
メディアの報道内容はほぼ同じで、参考になる情報は多くありません。 幸いなことにネット上の情報は豊富なので、以下にまとめてみます。
flightradar24 でのフライトデータ記録
滑走路05から離陸し、三浦半島を横切り、
相模湾の上空、江ノ島のほぼ真南あたりで、機長が客室減圧の問題に気付いたことがわかります。
機体は相模湾で旋回し、最終的に羽田の滑走路34Rへ安全に着陸しました。
機体の昇降率も比較的安定しており、飛行中に他に問題が発生した様子はありません。
参考として、今年に羽田空港から離陸し、
NH37とほぼ同じルートを飛んだ際に空から撮影した写真を載せます。
江ノ島付近の高度(15,000フィート、約4,500メートル)と位置は、だいたいこんな感じです。

【現地状況】全日空ANA37便がスコーク7700を出し緊急着陸…羽田発大阪伊丹行き【緊急事態】 <a href="/x-plane10/2012/01/atcliveatcnet.>liveatc.net には ATC 通信の記録がいくつかあり、 http://archive-server.liveatc.net/rjtt/RJTT-Control-Aug-12-2017-0930Z.mp3 1分5秒あたりから、機長と管制官の会話が聞こえます。 上記の flightradar24 のデータと照合すると、 会話が始まった時間は18時31分以降であるはずです。
以下、今回の通話録音を自分でまとめてみました。
NH37: 37, we have cabin issue, request descend to 10000 now, emergency, emergency! ATC: All Nippon37, roger. descend and maintain 10000. NH37: Descend to 10000. Return to Haneda airport. ATC: Roger. Flight heading 250, 250. NH37: Heading 250. ATC: All Nippon37,余裕あるときに原因を教えてください (Please report on the cause when able) NH37: キャビンのプレッシャーレイシォが上がって今ディセント10000になってます (Cabin pressure ratio above normal, descent command (Note: probably automatic) to 10000ft) ATC: 分かりました (Roger)
約30秒後 ATC: All Nippon37, turn left heading 180 NH37: left heading 180, All Nippon37 ATC: All Nippon37, resume normal speed, request … oh… disregard … heading 180 NH37: Normal speed, All Nippon37 ATC: All Nippon37, xxxxxでよろしいですか? (这个词没听清楚) NH37: xxxxxです。はい、今descend to 10000 ATC: 分かりました。passenger on boardとfuleを教えて頂けますか?余裕のあるときで結構です。どうぞ (please report passenger on board and fule in time) NH37: すみません、もう一度お願いします。(sorry say again) ATC: えっと、passenger on boardとfule in timeでお願いします (please report passenger on board and fule in time) NH37: 了解。on board passenger 258, fule 3.0 ATC: 258と。。。すみません、もう一回お願いします。(258… sorry say again) NH37: fuleは32000 ATC: 了解しました。
約30秒後 ATC: All Nippon37, turn left heading 130 NH37: Heading 130, All Nippon37 ATC: All Nippon37, contact Tokyo 133.7 NH37: 1337, All Nippon37
約30秒後 NH37: Tokyo Control, All Nippon37, 10000, now heading 130 ATC: All Nippon37, Tokyo Control, direct to Arlon NH37: direct to Arlon, All Nippon37 ARLONの位置
約30秒後 NH37: (noise)request priority landing, xxxxx ATC: (noise)All Nippon37, xxxxx
管制官がわざわざ機長に燃料重量を尋ねたのは、機長が燃料投棄を必要とするかどうかを把握したかったからでしょう。 もし離陸して間もない場合、燃料消費はあまり進んでおらず、 長距離の国際線のようなケースでは、 最大着陸重量を超過していると、すぐには着陸できません。
当サイトでは以前<a href="/x-plane10/2016/02/one-hour-flight-fuel. target="_blank" rel=“noopener noreferrer”>1時間のフライトのためにどれくらいの燃料を積むのか? という記事を書きましたが、東京から大阪までの飛行は1時間しかなく、機種は異なりますが、 必要とされる燃料はごくわずかです。 ボーイング777-200の最大燃料搭載量は117,000リットルですが、 当時の搭載量は32,000リットルでした。 したがって、NH73は燃料投棄を行わずにそのまま着陸できたのです。

