フライトシミュレーター愛好家のノート

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調布空港のJA4060 PA-46 Malibu離陸失敗および墜落

以前、当サイトでは東京のコミューター空港である調布飛行場(RJTF)を紹介しました、 東京 調布飛行場撮影手記調布飛行場オープンデー再訪などを通して、 ここにはとても好感を持っていました。

心を痛めることに、先週の日曜7月26日、 Piper PA-46-350P Malibuが離陸してわずか20数秒後に墜落しました。 機体は密集する住宅街に落ち、3人が死亡、2人が重傷を負う惨事となりました。

事故機の機体番号はJA4060。当日10時58分頃に調布飛行場滑走路17(RWY17)から離陸しました。 滑走路の外にあるサッカー場から撮影された以下の動画によると、 機体の高度は非常に低く、その状態は速度不足(対気速度不足)であり、 十分に上昇できず、かつ左に傾いている(左バンク)ことが見て取れます。

20数秒後、同機は滑走路から700メートル離れた住宅街の2軒の家屋の屋根に衝突し、 その後空中で一回転し、機体を逆さにして別の住宅に墜落、大火災を引き起こしました。 機内にはパイロット1名と乗客4名が搭乗していましたが、そのうち3名は脱出しましたが、 パイロットと乗客1名が死亡しました。 また、住宅に居た女性1名も避難が間に合わず火災で亡くなりました。 事後の検死によると、3名の死因はすべて焼死でした。

当日の天気は以下の通りです: RJTF 260100Z VRB01KT 9999 FEW030 BKN/// 33/22 Q1011 RMK 1CU030 A2986= RJTF 260200Z VRB02KT 9999 FEW030 SCT/// 34/22 Q1010 RMK 1CU030 A2984= RJTF 260257Z VRB03KT 9999 FEW030 SCT/// 36/22 Q1010 RMK 2CU030 A2983=

気温が非常に高く、ほぼ無風、そして蒸し暑い日であることがわかります。 つまり、空港の密度高度はかなり高かったはずで、 離陸には普段よりも大きな揚力が必要だったと推測されます。

マニュアルの離陸距離の項目を調べてみました。フラップ0(Flap0)の場合、 気温35度、無風、最大離陸重量4340ポンドで計算すると、 離陸距離は約3200フィート(975メートル)となり、 滑走路長800メートルのこの空港では完全に足りません。

しかし、もしフラップ20(Flap20)を使用した場合、 気温35度、無風時、離陸距離は約2400フィート(730メートル)となり、 滑走路長800メートルなら離陸可能です。

パイロットが提出した飛行計画によると、 今回のフライトの目的は、南方の海上にある大島空港(RJTO)への訓練飛行でしたが、 なぜ4名もの乗客が乗っていたのか、使用されていたフラップの設定角度はどうだったのか、 事実関係は現在も調査中です。

今日の<a href=http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20150728-00000017-ann-soci>ニュース報道によると、機体には5時間飛行可能な燃料が満載されていました。 調布飛行場から大島空港(RJTO)への往復はわずか1時間程度です。 そこに乗員5名を加えると、機体の総重量は1850キロに達します。 しかし、当該機種の最大離陸重量は1955キロしかありません。 当日の気象条件を考慮すると、必要な離陸条件を満たしていたのか、疑念が生じます。また、重心の計算状況も不明確です。

機体は滑走路上で加速し、機首を上げています。これは当時の速度がすでにV1を超えていたことを意味し、 パイロットは離陸を中断(RTO)しなかったということです。

別のテレビ映像によると、 サッカー場の上空にいた時に、パイロットが操縦桿を引き続け、 機首を上げようとしているのが見て取れました。パイロットは速度不足に気づき、 機首を上げようとしたのかもしれませんが、 過度な操縦桿の引きは、機体を失速させる可能性が高く、 最終的に墜落という惨劇を招いたと考えられます。

当該パイロットは1500時間の飛行経験を持っていたとのことですが、 常識的に考えて、離陸重量を計算せずに漫然と離陸することはないはずです。

もちろん、すべては関係当局の調査結果を待つ必要があります。 今日、墜落機のエンジンが発見され、外観はほぼ無事だったようなので、 エンジン自体の故障の有無に関する謎はすぐに解明されるかもしれません。

また、別の<a href=http://www.charlies.co.jp/?p=1205>ネット上の情報によると、 Malibu这款機の離着陸性能はそれほど良くなく、高空性能は優れているものの、 低空での速度が上がりにくい特性があり、今回の事故に関連している可能性もあるとのことです。

最後に、ここ数日のメディア報道について少し触れます。 日本では、毎日多くの人が旅客機に乗りますが、 一般大衆のコミューター航空機への理解はまだまだ浅いようです。 今回の大きな事故を受け、主要テレビ局は皆このニュースをトップで扱い、 多くの退役パイロットや航空評論家を招いて解説を行いました。 しかし、旅客機のパイロットはあくまで旅客機の専門家であり、 コミューター航空機に関する多くの推測やコメントは、あまり当てにならないと感じました。 今朝のニュースでようやく、同型機を所有する民間パイロットが登場し、 コメントを行っていたのが見られましたが、そのあたりは少し改善されたと感じました。

(つづく)

参考資料 http://www.rebay.at/fliegen/manuals/pa46_350_manual.pdf

2017/07/19 更新 最新の調査報告書が出ました。 結論は、パイロットの安全意識が低く、 重量(推定2008kg、当時機長は乗客の体重を確認していなかった)および重心計算(後方限界に達していた)を軽視し、 最大離陸重量(1950kg)を58kg超過していたことです。 離陸後の操作も誤っており、機首を引き上げすぎたことによって失速し、最終的に墜落しました。 また報告書によると、離陸時のフラップ位置は10度で、やはり揚力が不足していました。

基本的な手順を遵守し、侥幸心理(まぐれ当たりを期待する心理)を持たないこと、 これこそが安全飛行の第一歩であり最も重要なステップであり、 これに違反した時、必ずこのような無情な罰を受けることになるのです。